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答案をアップしていきます #司法試験

古江事例演習刑事訴訟法33攻防対象論

 

 

1.本件で、控訴裁判所は破棄自判して起訴事実の全部について有罪とすることができるか。

(1)無罪部分も有罪部分と共に移審するか。

第1審判決がその理由中において無罪の判断を示した点は、包括一罪として起訴された事実の一部なのであるから、第1審判決に対する控訴提起の効力は、それが被告人からだけの控訴であっても、控訴事実の全部に及び、無罪判決を含めたその全てが控訴審に移審継続する。よって、無罪部分も有罪部分とともに移審する。

(2)それでは、控訴審は無罪部分について職権調査(392条2項)をすることができるか。

包括一罪を構成する各部分はそれぞれ一個の構成要件を充足し得るものであり、訴因としても独立し得たものである。無罪部分については被告人から不服を申し立てる利益がなく、検察官からの控訴申立もないのであるから、当事者間においては攻防の対象から外されたものと見ることができる。控訴審が職権により調査を加え自判することは、被告人に不意打ちを与えるものである。職権の発動として許される限度を超えたものであり、破棄自判して全部について有罪とすることは違法となる。

(3)以上より、本件判決は違法である。

以上

これでいいんでしょうか・・・!?

古江事例演習刑事訴訟法32一事不再理効

1.弁護人は前訴の5件の窃盗と本件常習特殊窃盗とは実体的にー罪を構成し、その一部である前訴の窃盗について既に確定判決を経ているから、前訴の確定裁判の一事不再理効が後訴である本件に及び、本件については免訴判決を言い渡すべきであると主張した。

本件後訴との関係で本件前訴の判決が確定していることが「確定判決を経たとき」にあたるか。「確定判決を経た」ものとして免訴とすべき範囲、すなわち、一事不再理効の客観的範囲が問題となる。

(1)そもそも、一事不再理効(337条1項参照)の根拠は、一度個人が刑事訴追を受けたならば、再度同じ危険にさらされることはないという二重の危険禁止の原則(憲法39条後段)より、実体審理を受けた被告人について判決を確定したのち再び訴追を行うことを禁止した点にある。そして、「公訴事実の同一性」(312条)の範囲内で被告人は危険を負っている。そこで、一事不再理効は「公訴事実の同一性」(312条1項)の範囲内、すなわち1個の刑罰権に服する範囲で生じるものと考える。そして、その判断方法としては、当事者主義的訴訟構造の下、訴因制度を採用し、一罪の一部起訴を含めその構成権能を当事者である検察官に委ねている現行制度の下では、原則的には、前訴及び後訴の各訴因のみを基準としてこれらを比較対照することにより行うのが相当と考えるべきである。ただし、比較対照すべき訴因のみからでは同一性、単一性の判定に困難があるなどの場合(実体的に一罪を構成するかどうかにつき検討すべき契機が存在する場合)には、訴因の背後にある社会的事実ないし社会的諸事情をも考慮されるものと考える。

(2)本件前訴の訴因は単純窃盗、後訴の訴因は常習窃盗である。この場合、一方の訴因に常習性という要素が含まれており、両訴因が常習窃盗罪を構成する可能性が強くうかがわれる。これについて、比較対照すべき訴因のみから単一性を判断するのは困難である。そのため、社会的事実ないし社会的諸事情を考慮する。

(3)両罪が科刑上一罪の関係にあると言えれば、「公訴事実の同一性」の範囲内といえ、免訴判決が認められる。

以上

 

これでいいのか・・・・?

刑法事例演習教材12赤いレンガの衝撃

 

 

1.甲の、Aの顔面を突いた行為につき傷害致死罪(刑法(以下略)205条)が成立しないか。

(1)結果的加重犯は基本犯の構成要件を充たせば成立する。傷害は暴行の結果的加重犯も含む。上記行為は人Aの身体たる顔面に対する突くという不法な有形力行使であり暴行にあたる。そして、A死亡結果が発生している。

(2)因果関係は条件関係を前提に実行行為の持つ現実的危険性が結果へと現実化した場合に認められる。

 上記行為は、身長約170センチメートルと高く、体重約78キログラムのがっしりした体格の甲が、身長こそ約177センチメートルあった者の、胃腸に持病をかかえているうえ、体重が約50キログラムしかないAの、脳などデリケートな臓器を有する頭部にある顔面を殴打する行為であり、Aの脳挫傷等による死亡結果発生の危険性を有していた。仮に殴打行為自体により傷害を負わなかったとしても、スナックのような狭い場所でかかる行為を行えば、壁や床等に後頭部をうちつけ打撲を負い、Aの脳挫傷による死亡結果発生の危険性があったといえる。そして、実際にAは後頭部打撲による対外損傷による硬膜下血腫を伴う左前頭葉脳挫傷を死因として死んでいる。よって、実行行為のもつ現実的危険性がA死亡結果へと現実化したといえ、因果関係が認められる。

(3)以上より、上記行為につき傷害致死罪が成立する。

2.もっとも、甲は、Aが甲の顔面を殴打しようとした行為に対する防衛行為として上記行為に及んでいるところ正当防衛(36条1項)により違法性阻却されないか。

(1)「急迫」とは法益侵害が現に存在し又は間近に押し迫っていることをいう。Aは甲の顔面を殴打しようとしており、甲の身体に対する侵害が現に存在していたため「急迫」といえる。「不正」とは違法なことをいうところ、殴打する行為は暴行であり違法であり「不正」といえる。

(2)防衛意思とは、急迫不正の侵害を認識しつつこれを避けようとする単純な心理状態をいう。攻撃意思を有していたとしても当然に防衛意思が否定されるのではなく、専ら攻撃の意思で行為に及んだというような積極的加害意思がない限り防衛意思は認められる。

 甲はAが殴りかかってきた際に「こんな奴に殴られてたまるか」と憤激している。もっとも、この機会に乗じてAに加害しようという意思は有していなかったものと考えられる。甲はAの主権をかわしつつ、左拳を強く突き出して上記行為に及んでいる以上、急迫不正の侵害を認識しつつこれを避けようとする意思が認められ、防衛意思が認められる。

(3)「やむを得ずにした」とは防衛行為が必要最小限度であったことをいう。具体的には防衛行為が攻撃行為に比して相当性を有することをいう。

 本件攻撃行為は、上記のとおり身長こそ約177センチメートルあった者の、胃腸に持病をかかえているうえ、体重が約50キログラムしかないAが甲の顔面を殴打しようとする行為であった。これに対し、防衛行為は上記の通り身長約170センチメートルと高く、体重約78キログラムのがっしりした体格甲が狭いスナック出入り口付近で上記小柄なAの顔面という脳などデリケートな臓器を有する頭部にある顔面を殴打する行為であった。係る場合、防衛行為は攻撃行為に比して相当であったとは言えず、「やむを得ずにした」といえない。

(4)以上より、正当防衛は成立しない。もっとも、相当性以外の全ての要件を充たしているので過剰防衛が成立し、36条2項より刑が任意的に減免されうると思える。

 

 

 

 

 

00:31:33.495

 

自招侵害は「急迫」のところで書くべきだった

自招侵害の記述がいまいち

Bに対する傷害罪の検討をしていない

 

 

 

 

刑法事例演習教材8トランク監禁の悲劇

 

 

第1.甲の罪責

1.甲の、Aの顔面を手拳で数回殴打した行為につき暴行罪(刑法(以下略)208条)が成立しないか。

(1)「暴行」とは人の身体に対する不法な有形力行使をいう。甲は人Aの身体たる顔面を手拳で数回殴打するという不法な有形力行使をしているから「暴行」がある。

(2)故意(38条1項)とは客観的構成要件該当事実の認識認容をいうところ、甲は上記客観的構成要件該当事実を認識しており故意がある。

(3)以上より、上記行為につき暴行罪が成立する。

2.Aを追跡し、乙がAを捕まえて甲と2人でAの身体をつかんで、乙の車のトランク内に無理矢理押し込んだ行為につき監禁致死罪(221条)が成立しないか。

(1)「監禁」とは人の身体を間接的に拘束して身体活動の自由を奪うことをいう。

 本件で甲は乙と共同してAを車のトランク内に無理矢理押し込んで、Aの身体を拘束し、身体活動の自由を奪っているから「監禁」がある。

(2)本件で、A死亡結果が発生している。

(3)もっとも、Aは丙の追突行為という介在事情が存在しているが因果関係が認められるか。

ア.因果関係は条件関係を前提として実行行為の持つ現実的危険性が結果へと現実化した場合に認められる。

イ.本件監禁行為は、Aを車のトランクという通常人が入るべきではない場所に無理矢理押し込み、Aの身体の自由を奪うものであった。かかる行為によってAは振動や圧迫や熱によってデリケートな脳等の臓器を要する頭部に傷害を負う危険性があったといえるし、車に他の車が追突すれば、自己の際には最も損傷を受けるトランク部分に押し込められたAが真っ先に上記のような頭部等に傷害を負う危険性があった。丙の追突行為は前方不注意のために乙の車に追突したものである。確かに、乙が車を停車させた道路は車道の幅員が約7.5メートルと広く、ほぼ直線の見通しの良い道路であったが、片側1車線であり、後方から追突を受ける可能性も考えられた。よって、丙の追突行為は異常とまではいえない。よって、上記実行行為の危険性がA死亡結果へと現実化したといえ、因果関係が認められる。

(4)故意とは上記をいうところ、甲は上記客観的構成要件該当事実につき認識しており故意がある。

(5)以上より、上記行為につき監禁致死罪が成立する。後述の通り乙との共同正犯となる。

第2.乙の罪責

1.乙の不作為につき暴行罪の共同正犯(60条、208条)が成立しないか問題となるも、甲乙間で意思連絡はなく、成立しない。では、乙の不作為につき暴行罪の幇助犯が成立しないか。

(1)この点、乙はAとなんら関係がなく、先行行為も保護の引き受けもないから作為義務がない以上、不作為に実行行為性は認められない。よって成立しない。

2.Aを追跡し、乙がAを捕まえて甲と2人でAの身体をつかんで、乙の車のトランク内に無理矢理押し込んだ行為につき監禁致死罪の共同正犯(60条、221条)が成立しないか。

(1)共同正犯の処罰根拠は、共犯者の行為を介して結果へと因果性を及ぼし結果を共同惹起する点にある。よって、「共同して犯罪を実行した」とは①共謀、②①に基づく実行行為をいう。①共謀とはⅰ意思連絡、ⅱ正犯意思があれば認められる。

(2)本件で甲と乙は言葉による意思連絡はないが、乙は上記行為時点において、甲に協力しようという気持ちになって一緒にAを追跡しているから、甲乙間に黙示の意思連絡が認められる(ⅰ充足)。乙は、甲に協力する意思を有しているし、Aを捕まえるという重要な役割も果たしているから、正犯意思が認められる(ⅱ充足)。よって、共謀が認められる(①充足)。かかる共謀に基づいて甲乙は上記行為に及んでいる。上記行為は甲の罪責検討で論じた通り監禁致死罪の構成要件を充たす。したがって、共謀に基づく監禁致死罪の実行行為が認められる(②充足)。

(3)以上より、上記行為につき監禁致死罪の共同正犯が成立する。

第3.丙の罪責

1.丙の、乙の車の後部に追突した行為につき過失運転致死罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条)が成立しないか。

(1)丙には、前方不注意が認められ「自動車運転上必要な注意を怠り」といえる。

(2)かかる不注意に「よって」Aは頭部挫傷の傷害を負い死亡結果が発生している。

(3)以上より、上記行為につき過失運転致死罪が成立する。

第4.Gの罪責

1.Gのにつき殺人罪(199条)が成立しないか。

(1)Aは脳死状態であり、Aの臓器を提供する意思はA本人にもその家族にもなかった(臓器移植法6条参照)。よって、上記行為は正当行為(35条)にあたり違法性阻却される。

(2)よって、犯罪は成立しない。

第5.関連設例①

1.丙の酒に酔った状態で運転し乙の車に追突した行為につき危険運転致死罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条1号)が成立しないか。

(1)乙は酒に酔って正常な運転ができない状態で車を運転していたから、「アルコール…の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行」させたといえる。

(2)かかる運転に「よって」乙の車に追突し、Aの死亡結果が生じている。

(3)以上より、上記行為につき危険運転致死罪が成立する。

第6.関連設例②

1. 本件Aを後部座席に乗せた行為に監禁致死罪が成立するか。

(1)まず、「監禁」とは上記をいうところ、本件のように後部座席に乗せる行為であってもAの身体活動の自由が奪われているから「監禁」といえる。そして、A死亡結果発生も認められる。

(2)もっとも、Aが自動車の後部座席に乗っていて事故にあった場合には、実行行為のもつA死亡結果発生の現実的危険性が現実化したとは言えず、因果関係が認められないのではないか。因果関係につき上記規範に従い検討する。

 後部座席と言うのは通常人が乗ることが予定されている場所であり、後部座席に乗ること自体にはAが脳挫傷等により死亡する現実的危険性が認められない。よって、実行行為の持つ危険性が結果へと現実化したといえないため、因果関係が認められない。

(3)以上より、上記行為につき単に監禁罪が成立し、本問と同様に考えて甲乙は監禁罪の共同正犯の罪責を負うことになる。

2.丙の衝突行為については本問と同様に過失運転致死罪が成立する。

第7.関連設例③前段

1.設問記載の場合、Gの人工呼吸器を取り外す行為に殺人罪が成立しないか。

(1)本件でFがAの事前の意思だといってGに人工呼吸器を取り外すことを求めている。この点、Aの事前の意思かは明らかではないし、人工呼吸器を取り外すべきではなかった。

(2)よって、上記行為につき殺人罪が成立する。

第8.関連設例③後段

1.Gの筋弛緩剤を注射した行為につき殺人罪は成立しないか。

(1)筋弛緩剤を注射する行為はA死亡結果発生の現実的危険性を有するため実行行為性が認められる。かかる実行行為に「よって」A死亡結果が発生している。

(2)確かに、GはAが苦しそうな呼吸を続けていることから上記行為に及んでいるが、上記客観的構成要件該当事実につき認識しており故意がある。

(3)以上より、上記行為につき殺人罪が成立する。

 

 

 

コメント

第1.甲の罪責

+Gの余命措置の中止行為

Aの脳死、そして脳死状態から回復が見込めないことによる治療中止へとつながり市の結果を誘発

呼吸器を取り外した行為は式を早めたに過ぎないので因果関係遮断されない

第2.乙の罪責

致死結果について責任を負うか問題になる?

第4.Gの罪責

脳死状態では死亡していないから∵死亡とは①心臓の停止、②呼吸の停止、③瞳孔反射の停止のいずれかの不可逆的停止

不作為

推定的承諾

第5.①

甲乙の罪の因果関係否定しない

第7.③前段

推定的承諾がある→殺人罪成立しない

第8.③後段

推定的承諾がある→殺人罪成立しない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刑法事例演習教材6カネ・カネ・キンコ

第1.乙のアダルトビデオ3点を万引きした行為

1.乙の上記行為につき窃盗罪(刑法(以下略)235条)が成立しないか。

(1)乙にとって他人の所有する財物アダルトビデオ3点という「他人の財物」を、占有者たるB点の意思に反して自己の占有下に移転させており「窃取」したといえる。

(2)故意(38条1項本文)とは客観的構成要件該当事実の認識認容をいうところ、乙は上記客観的構成要件を該当しており故意がある。また、不法領得の意思も認められる。

(3)以上より、上記行為につき窃盗罪が成立する。

第2.乙のD子にエアーガンを突き付け「カネ・カネ・キンコ」と3回繰り返し35万円を受け取ったた行為

1.上記行為につき強盗罪の共同正犯(60条、236条1項)が成立しないか。

(1)共同正犯の処罰根拠は共同して犯罪を実行し結果へと因果性をおよぼし、結果を共同惹起した点にある。よって、「共同して犯罪を実行した」とは、①共謀、②①に基づく実行行為をいう。①共謀とは、ⅰ意思連絡、ⅱ正犯意思があるときに認められる。

(2)甲は、近所のスナックCで使った30万円を取り戻したい旨の計画を持ち掛け、エアーガンと目だし帽を乙に手渡したうえ「外国人のふりをして『カネ・カネ・キンコ』とだけいってこれを突き付けろ」「女の店長しかいない夜10時以降に行くんだ」などと乙に支持している。乙は実行を承諾しているから、意思連絡がある(ⅰ充足)。甲は本件計画の首謀者であり正犯意思を有する。

もっとも、乙に正犯意思は認められるか。確かに、乙は、乙の万引きを見ていた甲に言うことを聞かないと暴行等を加えるといった旨の脅迫を受けており、本件計画を承諾しなければ万引きの事実が発覚するのみでなく、自分自身が半殺しの目にあい、さらに両親がゆすられたりするのではないかとの思いから実行を承諾しているから正犯意思はないように思える。しかし、乙は本件計画を実行しており、その後甲から3万円の分け前を受け取っていることから正犯意思があったといえる(ⅱ充足)。よって、共謀が認められる(①充足)。

(3)乙はかかる①共謀に基づき上記行為に及んでいる。かかる行為は強盗罪の構成要件を充たすか。

ア.本件35万円は、Cの金庫内の金であり、乙にとって他人の所有する財物であるから「他人の財物」といえる。

イ.「暴行又は脅迫」とは、相手方の反抗を抑圧するに足る程度の暴行又は脅迫をいう。乙は、エアーガンをD子に突き付けており、D子はこれが本物の拳銃であると誤信していた。また、乙の様子は鬼気迫るものであった。鬼気迫る外国人風の男性が拳銃をつきつける行為は相手方の反抗を抑圧するに足る程度の脅迫といえ、実際にD子は抵抗の意思をなくしている。よって、「暴行又は脅迫」が認められる。

ウ.かかる「暴行又は脅迫」により、D子は乙に35万を手渡し、乙の占有下に移転しているから「強取」といえる。

エ.以上より、上記行為は強盗罪の構成要件を充たす。すなわち、①共謀に基づく強盗の実行行為が認められる(②充足)。

(4)以上より、上記行為につき強盗罪の共同正犯が認められる。

第3.乙のD子を姦淫した行為

1.上記行為につき強盗強制性交罪の共同正犯(60条、241条1項)が成立しないか。

 甲は姦淫行為を指示していないが、上記甲乙間共謀の射程は姦淫行為にまで及ぶか。

(1)共同正犯の処罰根拠に鑑みて、共謀が因果性を及ぼしたといえる場合に共謀の射程が及ぶと考える。

 上記共謀は、甲が首謀した計画に基づくもので、約30万円を強盗する行為についてのものであった。乙は、D子が警察に訴えないようにするには辱めを与えておけばよいだろうと考えて上記行為に及んでいる。係る行為は得た財物を取り返されないために行ったものではなく、乙がその場の思い付きで行った行為といえるため、当初の共謀の因果性が及んでいるとは言えない。また、甲は本件姦淫行為につき認識していないので、新たな共謀も認められない。よって、共同正犯は成立しない。

2.では、上記行為につき強盗強制性交罪(241条1項)は成立するか。

(1)乙は上記の通り「強盗の罪…を犯した者」にあたる。

(2)乙は上記強盗によりD子が反抗を抑圧され、恐怖心により放心状態となっていることを利用して姦淫行為という強制性交に及んでいる。

(3)以上より、乙の上記行為につき強盗強制性交罪(241条1項)が成立する。

第4.エアーガンをE男の体の中心部をめがけて3発発射した行為

1.上記行為につき事後強盗致傷罪(238条、240条)が成立しないか。

(1)乙は上記の通り強盗を行っており、Cの意思に反して35万円を自己の占有下に移転させているから、「窃盗」にあたる。

(2)乙はE男が乙を追跡し追いついて「こら待て泥棒」と乙を呼び止めたので「捕まってなるものか」と思い、上記行為に及んでいるから「逮捕を免」れる目的があったといえる。

(3)「暴行又は脅迫」とは上記をいう。さらに、事後強盗罪も財産犯の一種である以上、「暴行又は脅迫」は窃盗の機会の継続中になされることを要する。

 E男は、D子の連絡を受けてただちに乙の追跡を開始し、同店からわずか30メートル先の路上で乙に追いついている。よって、窃盗の機会の継続が認められる。かかる機械の継続中に乙は上記行為に及んでいる。本物の拳銃様のエアーガンを発射する暴行を受ければ相手方の反抗は抑圧されると考えられる。よって、「暴行又は脅迫」が認められる。したがって、乙は「強盗」にあたる。

(4)上記暴行により、E男はショックでその場に仰向けに倒れ、その際3週間の打撲傷という傷害を負った。よって「強盗」が人Eを「負傷させた」といえる。

(5)以上より、上記行為につき事後強盗致傷罪が成立する。

第5.乙の、E男の胸ポケットから財布を奪った行為

1.上記行為につき強盗罪(236条1項)が成立しないか。

(1)本件財布は乙にとって他人Eの所有物であり「他人の財物」にあたる。

(2)「暴行又は脅迫」は財物奪取に向けてなされることを要する。この点、乙は上記エアーガン発射時には財物奪取意思を有していなかった。本件のように事後的奪取意思を発生させた場合に「暴行又は脅迫」は認められないか。

ア.事後的に奪取意思を生じた場合においては、新たな暴行又は脅迫を要する。もっとも、その程度は、従前の犯行抑圧状態を継続させる程度の者で足りる。

イ.乙は、Eの胸ポケットに財布が入っているのをみて財物奪取意思を生じている。よって新たな暴行又は脅迫を要する。Eは上記暴行により負傷し、苦悶の表情を浮かべていた。かかるに対し、乙は「文句はないな」と申し向け、Eはうなずいている。Eからすれば、エアーガンを体の中心部に発射され、3週間の打撲傷を負い、苦悶しているため、係る状況でEから「文句はないな」と脅迫を受ければ財布を取られることを容認しなければさらにひどいけがを負わされると思い、従前の犯行抑圧状態が継続しているといえる。よって、「暴行又は脅迫」が認められる。

(3)乙は上記脅迫行為により本件財布を「強取」している。

(4)以上より、上記行為につき強盗罪が成立する。

第6.乙の、強取したEの財布をゴミ箱に捨てた行為

 

 

 

第7.罪数

1.甲は強盗罪の共同正犯の罪責を負う。

2.乙は①窃盗罪、②強盗の共同正犯、③強盗強制性交罪、④事後強盗致傷罪、⑤強盗罪の罪責を負う。これらは併合罪となる。

以上

01:08:44.071

 

コメント

建造物侵入罪の検討を忘れた

第2で間接正犯の検討忘れた

第4、第5で共同正犯の検討忘れた

第6が何が書きたかったのかよくわからない

 

 

 

 

 

古江事例演習刑事訴訟法17科学的証拠

1.本件DNA型鑑定の結果に証拠能力が認められる要件は何か。DNA方鑑定はその信頼性が確立されているわけではないが、いかなる場合に自然的関連性が認められるか。

(1)そもそも自然的関連性とは、証拠に要証事実を推認させるのに必要な最小限度の証明力がなければならないことをいう。DNA型鑑定においては、①その科学的原理が理論的正確性を有し、②具体的な実施の方法も、その技術を習得した者により、科学的に信頼される方法で行われたと認められる場合に限り、最小限度の証明力を有するとして、自然的関連性が認められるものと考える。

(2)自然的関連性が認められるとき、いかなる場合に本件鑑定の結果に法律的関連性は認められるか。

本件鑑定の結果は、被害者の爪の中に遺留された細胞片がXのものであるという要証事実との関係で、供述内容の真実性が問題となる公判期日外証拠なので、伝聞証拠にあたり、同意なき限り(326条1項)原則として証拠能力が認められない(320条1項)。

(3)もっとも、伝聞例外にあたらないか。

 鑑定受託者の鑑定書は321条4項が準用され、法律的関連性は認められる。

(4)しかし、令状なく行っていた場合、証拠が排除されないか。

 DNA型鑑定については、重大なプライバシー侵害の恐れがある以上、試みようとするDNA型鑑定の具体的方法をあらかじめ明らかにし、その結果を忠実に記録にとどめるためにも、鑑定処分許可状(225条3項)を得る必要がある。

2.本件臭気選別結果に証拠能力を認めるための要件は何か。

(1)自然的関連性とは上記をいう。臭気選別結果は、①選別につき専門的な知識と経験を有する指導主が、②臭気選別能力が優れ、選別時において体調なども良好でその能力がよく保持されている警察犬を使用して実施した者であるとともに、③臭気の採取、保管の家庭や臭気選別の方法に不適切な点のない場合に自然的関連性が認められる。

(2)自然的関連性が認められる場合、臭気選別結果報告書は伝聞証拠なので、原則として証拠能力を有しない(320条1項)。

 もっとも、警察犬による臭気選別の経過及び結果のみを記載した報告書については、検証調書に準ずるものとして321条3項により証拠とすることができる。専門家としての指導主が警察犬の臭気選別状況、臭気選別能力などを総合的に評価して、その経過及び結果について一定の評価を記載した書面については、鑑定受託者による鑑定書の一種として321条4項を準用する。

以上

 

これでいいのかよくわかってない

刑法事例演習教材5ピカソ盗取計画

第1.甲の罪責

1.甲の、倉庫の塀を飛び越えて敷地内に侵入した行為に、建造物侵入罪(刑法(以下略)130条)が成立しないか。

(1)囲繞地であっても建造物に含まれると考える。よって、本件塀は建造物に含まれる。

(2)「侵入」とは管理権者の意思に反して敷地内に入ることをいう。甲は管理権者A社の意思に反して倉庫の塀を飛び越えて敷地内に侵入しており、「侵入」がある。

(3)以上より、上記行為につき建造物侵入罪が成立する。

2.甲の、倉庫の建物の入り口のドアの鍵をバールで壊そうとした行為につき器物損壊罪が成立する。

3.甲の、Cから逃れようとして空に向けて威嚇射撃をした行為につき事後強盗致傷罪(240条)が成立しないか。

(1)まず、甲は事後強盗未遂(238条、243条)に当たらないか。

ア.「窃盗」とは、窃盗未遂も含まれる。本件で、甲は、A社の倉庫のピカソ作の高価な絵画を窃取しようとして、入り口ドアの鍵を壊そうとしている。」よって、甲は窃盗未遂にあたるところ、「窃盗」といえる。

イ.本件で、甲はCから「逮捕を免れ」るために上記行為に及んでいる。

ウ.「暴行又は脅迫」とは相手方の反抗を抑圧するに足る程度の暴行又は脅迫をいうところ、本件で甲は、拳銃という殺傷能力の高い凶器を取り出し、約10メートル先のCに対し、「近づくと撃つぞ」と叫んで、空に向けて威嚇射撃をしている。かかる行為は、Cの生命身体の危険を感じさせ、反抗を抑圧するに足る程度の脅迫である。実際にこれによって、Cは驚いてあわてて近くの物陰に身を隠している。よって「暴行又は脅迫」も認められる。

エ.事後強盗の既遂未遂は窃盗の既遂未遂ではんだんするから、本件では事後強盗未遂にあたる。

(2)よって、甲は事後強盗未遂であるところ、「強盗」には未遂も含まれると考える。よって、甲は「強盗」にあたる。

(3)上記威嚇射撃によって、驚いて近くの物陰に身を隠したCはその際に、腕をすりむいて全治7日間の擦過傷という傷害を負っている。

(4)よって、「強盗」甲が「人」Cを「負傷させた」といえるから、上記行為につき強盗致傷罪が成立する。

第2.乙の罪責

1.乙の、倉庫の塀を飛び越えて敷地内に侵入した行為に、甲と同様に考えて建造物侵入罪(130条)が成立する。

2.乙の、倉庫の外で見張りをしていた行為につき強盗致傷罪の共同正犯(240条、60条)が成立しないか。

(1)共同正犯の処罰根拠は犯罪を共同し結果へと因果性を及ぼし、結果を共同惹起する点にある。よって、「共同して犯罪を実行した」とは①共謀②①に基づく実行行為という。①とは、ⅰ意思連絡とⅱ正犯意思をいう。

(2)乙は甲からA社の倉庫に忍び込んで絵画を盗みだす計画につき打ち明けられており、これに加わることを了承しているから意思連絡があった(ⅰ充足)。確かに乙は、当初計画に加わることに難色を示しており、最終的に甲の世話になっていることも考えて渋々ながら了承しただけである。しかし、乙は倉庫の外で見張りをしていて、甲が持ち出してきた絵画を車に積み込むのを手伝うだけでよいという作業の容易さを聞き、さらに、盗んだ買いがを売って得た金の30パーセントを分け前として渡すという条件を聞いて了承に及んでいることから、本件計画の重要な役割を担い、分け前も受け取る意思が認められ、正犯意思が認められる(ⅱ充足)。よって、共謀があったといえる(①充足)。

(3)かかる共謀に基づき甲は上記強盗致傷に及んでいるため、共謀に基づく実行行為が認められそうである。もっとも、乙は、Cが駆け付けると裏口から逃げだしており、甲が拳銃を持っていることすら知らなかった。甲の上記拳銃発射行為にまで共謀の射程が及ぶか。

ア.上記共同正犯の処罰根拠に鑑みて、当初の共謀の因果性が及んだと言えれば、共謀の射程が及ぶと考える。

イ.当初の共謀は、乙が見張りをしている間に甲が倉庫内のピカソの絵を盗み出し、乙がこれを車に積み込むというものであった。窃盗を行う際には、追跡者が表れ、その者に対して暴行又は脅迫を行うことは容易に想定できる事態であり、事後強盗を行うおそれもかかる計画内に含まれていたと考えられる。本件でCが事務所から駆け付けているが、甲としては拳銃を発射させてでも逮捕を免れたいという意思で行ったものであり、事後強盗行為である以上、当初の共謀の因果性はかかる行為に及んでいるといえる。

ウ.よって、①共謀に基づく実行行為が認められる(②充足)。

(4)もっとも、乙は甲が拳銃を持っていることすら知らなかったが、故意は認められるか。

ア.故意(38条1項本文)とは客観的構成要件該当事実の認識認容をいう。この点、軽い罪の故意で重い罪の行為を行った場合には、利益原則から、重い罪を認定するのは妥当でない。よって、両罪の重なり合う限度で軽い罪が成立すると考える。

イ.乙は、窃盗の故意で事後強盗を行っているところ、窃盗も事後強盗も保護法益は所有権で、行為態様は奪取行為である。よって、両罪の重なり合いが認められ、乙には軽い窃盗罪が成立すると考える。

(5)以上より、上記行為につき乙には窃盗罪の共同正犯が成立する。

以上

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後半急ぎ目で書いたから間違っているかも