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古江事例演習刑事訴訟法32一事不再理効

1.弁護人は前訴の5件の窃盗と本件常習特殊窃盗とは実体的にー罪を構成し、その一部である前訴の窃盗について既に確定判決を経ているから、前訴の確定裁判の一事不再理効が後訴である本件に及び、本件については免訴判決を言い渡すべきであると主張した。

本件後訴との関係で本件前訴の判決が確定していることが「確定判決を経たとき」にあたるか。「確定判決を経た」ものとして免訴とすべき範囲、すなわち、一事不再理効の客観的範囲が問題となる。

(1)そもそも、一事不再理効(337条1項参照)の根拠は、一度個人が刑事訴追を受けたならば、再度同じ危険にさらされることはないという二重の危険禁止の原則(憲法39条後段)より、実体審理を受けた被告人について判決を確定したのち再び訴追を行うことを禁止した点にある。そして、「公訴事実の同一性」(312条)の範囲内で被告人は危険を負っている。そこで、一事不再理効は「公訴事実の同一性」(312条1項)の範囲内、すなわち1個の刑罰権に服する範囲で生じるものと考える。そして、その判断方法としては、当事者主義的訴訟構造の下、訴因制度を採用し、一罪の一部起訴を含めその構成権能を当事者である検察官に委ねている現行制度の下では、原則的には、前訴及び後訴の各訴因のみを基準としてこれらを比較対照することにより行うのが相当と考えるべきである。ただし、比較対照すべき訴因のみからでは同一性、単一性の判定に困難があるなどの場合(実体的に一罪を構成するかどうかにつき検討すべき契機が存在する場合)には、訴因の背後にある社会的事実ないし社会的諸事情をも考慮されるものと考える。

(2)本件前訴の訴因は単純窃盗、後訴の訴因は常習窃盗である。この場合、一方の訴因に常習性という要素が含まれており、両訴因が常習窃盗罪を構成する可能性が強くうかがわれる。これについて、比較対照すべき訴因のみから単一性を判断するのは困難である。そのため、社会的事実ないし社会的諸事情を考慮する。

(3)両罪が科刑上一罪の関係にあると言えれば、「公訴事実の同一性」の範囲内といえ、免訴判決が認められる。

以上

 

これでいいのか・・・・?