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刑法事例演習教材6カネ・カネ・キンコ

第1.乙のアダルトビデオ3点を万引きした行為

1.乙の上記行為につき窃盗罪(刑法(以下略)235条)が成立しないか。

(1)乙にとって他人の所有する財物アダルトビデオ3点という「他人の財物」を、占有者たるB点の意思に反して自己の占有下に移転させており「窃取」したといえる。

(2)故意(38条1項本文)とは客観的構成要件該当事実の認識認容をいうところ、乙は上記客観的構成要件を該当しており故意がある。また、不法領得の意思も認められる。

(3)以上より、上記行為につき窃盗罪が成立する。

第2.乙のD子にエアーガンを突き付け「カネ・カネ・キンコ」と3回繰り返し35万円を受け取ったた行為

1.上記行為につき強盗罪の共同正犯(60条、236条1項)が成立しないか。

(1)共同正犯の処罰根拠は共同して犯罪を実行し結果へと因果性をおよぼし、結果を共同惹起した点にある。よって、「共同して犯罪を実行した」とは、①共謀、②①に基づく実行行為をいう。①共謀とは、ⅰ意思連絡、ⅱ正犯意思があるときに認められる。

(2)甲は、近所のスナックCで使った30万円を取り戻したい旨の計画を持ち掛け、エアーガンと目だし帽を乙に手渡したうえ「外国人のふりをして『カネ・カネ・キンコ』とだけいってこれを突き付けろ」「女の店長しかいない夜10時以降に行くんだ」などと乙に支持している。乙は実行を承諾しているから、意思連絡がある(ⅰ充足)。甲は本件計画の首謀者であり正犯意思を有する。

もっとも、乙に正犯意思は認められるか。確かに、乙は、乙の万引きを見ていた甲に言うことを聞かないと暴行等を加えるといった旨の脅迫を受けており、本件計画を承諾しなければ万引きの事実が発覚するのみでなく、自分自身が半殺しの目にあい、さらに両親がゆすられたりするのではないかとの思いから実行を承諾しているから正犯意思はないように思える。しかし、乙は本件計画を実行しており、その後甲から3万円の分け前を受け取っていることから正犯意思があったといえる(ⅱ充足)。よって、共謀が認められる(①充足)。

(3)乙はかかる①共謀に基づき上記行為に及んでいる。かかる行為は強盗罪の構成要件を充たすか。

ア.本件35万円は、Cの金庫内の金であり、乙にとって他人の所有する財物であるから「他人の財物」といえる。

イ.「暴行又は脅迫」とは、相手方の反抗を抑圧するに足る程度の暴行又は脅迫をいう。乙は、エアーガンをD子に突き付けており、D子はこれが本物の拳銃であると誤信していた。また、乙の様子は鬼気迫るものであった。鬼気迫る外国人風の男性が拳銃をつきつける行為は相手方の反抗を抑圧するに足る程度の脅迫といえ、実際にD子は抵抗の意思をなくしている。よって、「暴行又は脅迫」が認められる。

ウ.かかる「暴行又は脅迫」により、D子は乙に35万を手渡し、乙の占有下に移転しているから「強取」といえる。

エ.以上より、上記行為は強盗罪の構成要件を充たす。すなわち、①共謀に基づく強盗の実行行為が認められる(②充足)。

(4)以上より、上記行為につき強盗罪の共同正犯が認められる。

第3.乙のD子を姦淫した行為

1.上記行為につき強盗強制性交罪の共同正犯(60条、241条1項)が成立しないか。

 甲は姦淫行為を指示していないが、上記甲乙間共謀の射程は姦淫行為にまで及ぶか。

(1)共同正犯の処罰根拠に鑑みて、共謀が因果性を及ぼしたといえる場合に共謀の射程が及ぶと考える。

 上記共謀は、甲が首謀した計画に基づくもので、約30万円を強盗する行為についてのものであった。乙は、D子が警察に訴えないようにするには辱めを与えておけばよいだろうと考えて上記行為に及んでいる。係る行為は得た財物を取り返されないために行ったものではなく、乙がその場の思い付きで行った行為といえるため、当初の共謀の因果性が及んでいるとは言えない。また、甲は本件姦淫行為につき認識していないので、新たな共謀も認められない。よって、共同正犯は成立しない。

2.では、上記行為につき強盗強制性交罪(241条1項)は成立するか。

(1)乙は上記の通り「強盗の罪…を犯した者」にあたる。

(2)乙は上記強盗によりD子が反抗を抑圧され、恐怖心により放心状態となっていることを利用して姦淫行為という強制性交に及んでいる。

(3)以上より、乙の上記行為につき強盗強制性交罪(241条1項)が成立する。

第4.エアーガンをE男の体の中心部をめがけて3発発射した行為

1.上記行為につき事後強盗致傷罪(238条、240条)が成立しないか。

(1)乙は上記の通り強盗を行っており、Cの意思に反して35万円を自己の占有下に移転させているから、「窃盗」にあたる。

(2)乙はE男が乙を追跡し追いついて「こら待て泥棒」と乙を呼び止めたので「捕まってなるものか」と思い、上記行為に及んでいるから「逮捕を免」れる目的があったといえる。

(3)「暴行又は脅迫」とは上記をいう。さらに、事後強盗罪も財産犯の一種である以上、「暴行又は脅迫」は窃盗の機会の継続中になされることを要する。

 E男は、D子の連絡を受けてただちに乙の追跡を開始し、同店からわずか30メートル先の路上で乙に追いついている。よって、窃盗の機会の継続が認められる。かかる機械の継続中に乙は上記行為に及んでいる。本物の拳銃様のエアーガンを発射する暴行を受ければ相手方の反抗は抑圧されると考えられる。よって、「暴行又は脅迫」が認められる。したがって、乙は「強盗」にあたる。

(4)上記暴行により、E男はショックでその場に仰向けに倒れ、その際3週間の打撲傷という傷害を負った。よって「強盗」が人Eを「負傷させた」といえる。

(5)以上より、上記行為につき事後強盗致傷罪が成立する。

第5.乙の、E男の胸ポケットから財布を奪った行為

1.上記行為につき強盗罪(236条1項)が成立しないか。

(1)本件財布は乙にとって他人Eの所有物であり「他人の財物」にあたる。

(2)「暴行又は脅迫」は財物奪取に向けてなされることを要する。この点、乙は上記エアーガン発射時には財物奪取意思を有していなかった。本件のように事後的奪取意思を発生させた場合に「暴行又は脅迫」は認められないか。

ア.事後的に奪取意思を生じた場合においては、新たな暴行又は脅迫を要する。もっとも、その程度は、従前の犯行抑圧状態を継続させる程度の者で足りる。

イ.乙は、Eの胸ポケットに財布が入っているのをみて財物奪取意思を生じている。よって新たな暴行又は脅迫を要する。Eは上記暴行により負傷し、苦悶の表情を浮かべていた。かかるに対し、乙は「文句はないな」と申し向け、Eはうなずいている。Eからすれば、エアーガンを体の中心部に発射され、3週間の打撲傷を負い、苦悶しているため、係る状況でEから「文句はないな」と脅迫を受ければ財布を取られることを容認しなければさらにひどいけがを負わされると思い、従前の犯行抑圧状態が継続しているといえる。よって、「暴行又は脅迫」が認められる。

(3)乙は上記脅迫行為により本件財布を「強取」している。

(4)以上より、上記行為につき強盗罪が成立する。

第6.乙の、強取したEの財布をゴミ箱に捨てた行為

 

 

 

第7.罪数

1.甲は強盗罪の共同正犯の罪責を負う。

2.乙は①窃盗罪、②強盗の共同正犯、③強盗強制性交罪、④事後強盗致傷罪、⑤強盗罪の罪責を負う。これらは併合罪となる。

以上

01:08:44.071

 

コメント

建造物侵入罪の検討を忘れた

第2で間接正犯の検討忘れた

第4、第5で共同正犯の検討忘れた

第6が何が書きたかったのかよくわからない