甲の罪責について 1.甲の包丁でAの右腰部を、力を込めずに1回突き刺した行為(第1行為)につき傷害罪(刑法(以下略)204条)が成立しないか。 (1)ア.傷害罪とは暴行罪の結果的加重犯であるところ、結果的加重犯においては、基本犯の構成要件が認められ…
第1.甲の罪責について 甲のBに本件不動産を売却した行為につき、Aに対する横領罪(刑法(以下略)252条)が成立しないか。 (1)ア.「他人の物」とは、他人の所有する財物をいう。そして、横領罪としての保護に値する所有権の実質が必要であるから、単に…
1.本件令状は、「捜索すべき場所、身体及び物」を「東京都文京区甲町1丁目2番3号X事務所並びに同所に在所する者の身体及び所持品」と記載しているが、かかる記載で捜索すべき場所が特定されたといえるか(憲法35条、刑訴法219条1項)。 (1)そもそも憲法35条…
第1.乙の罪責について 1.乙は丙と「共同して」、丁・Bの「看守する」リサイクルショップAという「建造物」に、窃盗目的というAの管理権者の意思に反する立ち入りをしているため「侵入」しているといえる。よって、当該行為につき、建造物侵入罪(刑法(以…
第1.(2)の行為について 1.甲の乙と共同して虚偽の内容の理事会議事録を作成した行為につき無印私文書偽造罪の共同正犯(刑法(以下略)159条3項、60条)が成立しないか。 (1)「偽造」とは、名義人と作成者の人格の同一性を偽ることをいう。そして、名…
第1.設問(1)について 1.Aは単独で共有物甲を修理することができるか。 (1)共有物の保存行為は各共有者が単独で行うことができる(民法(以下略)252条但書)。保存行為とは、共有物の現状を維持するための行為をいう。 (2)共有物甲を修理する行為は…
第1.設問(1)について 1.前提として、主たる債務者Bは消滅時効を援用できるか。Bは2026年6月1日に時効が完成した後である同年10月1日にAに対して債務の存在を認める旨の手紙を送っているため、問題となる。 (1)時効完成を知って時効完成後の債務承認を…
第1.設問(1)について 1.Aが錯誤(民法(以下略)95条1項)を理由として本件売買契約を取消した場合、本件売買契約は初めから無効であったものとみなされる(121条)。そして、無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けたものは、相手方を現状に復さ…
第1.設問(1)について 1.AのCに対する所有権(民法(以下略)206条)に基づく妨害排除請求としてのAへの甲土地所有権移転登記請求は認められるか。 (1)要件は①A所有②妨害登記の存在である。 本件において、甲土地はAの所有物であり(①充足)、C名義の登…
第1.甲の罪責について 1.甲のAの仕事場からAのノートパソコンを盗み出した行為につき、Aの所有するノートパソコンという「他人の財物」をAの意思に反して事故の占有下に移転しており「窃取」したといえるため、窃盗罪(刑法(以下略)235条)が成立する。 …